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すべては顧客ために。 老舗でありながら常に最先端を行く特許事務所であり続ける。

木戸 良彦Yoshihiko Kido

木戸特許事務所

所長

事務所閉鎖の危機で組織変革を遂行。チームで掴んだV字回復。

2009年のリーマンショックの余波で、翌年からお取引先企業の知財に対する予算の絞り込みが起き始めた。案件は減り、みるみるうちに売り上げが落ち込んでいった。

このままジリ貧では、いずれ事務所を畳むことになるかもしれないと、危機感を募らせた。

「何もやらないで駄目になるくらいなら、できることに取り組む」と、よりスピード感を持った事務所変革の遂行を決意。まだ所長就任前だったが、先代を何度も説得し、当時の事務所の規模としては十分すぎる程にIT化した。また、当事務所の強みは120年の歴史にあると考え、2012年、40年間居を構えた建物から現在のオフィスである、国登録有形文化財指定の丸石ビルディングへ事務所を移転したのだ。

これらの変革の波についていくことができず、事務所を去るスタッフがいたことには胸を痛めたが、それでも事務所存続とお客様への想いを強く持ち、残ってくれたスタッフに対して顧客へ寄り添う丁寧なサービス提供のための教育を徹底した。

教育にあたって核となったのは、あの時お叱りを受けたお客様からの学びだった。特許出願への確かな実績、ノウハウのさらなる研鑽に邁進しながらも、常にお客様の目線に立ち、わかりやすく、肚落ちするような説明と資料作成を全スタッフに浸透させるように努めた。

木戸自らが赤ペンを持ち、一言一句確認しながら、その目的や意図を根気強く伝えて行ったのだ。また、お客様のお問い合わせにも即時対応を必須とし、こまめで迅速なメール対応を事務所全体で心がけた。

そんな一つひとつの取り組みは、すぐに結果となって表れ始めた。お客様からの仕事依頼の頻度が徐々に上がってきたのである。

「『お客様のため』を第一に考え、ひとつひとつ丁寧に対応させていただくことが、結局は自分たちに返って来る。そのことも、お客様から学ばせて戴いたのだと感じました。」

学生時代から子ども達への遠泳合宿のコーチを続けている木戸は、がっしりとした体格で、日焼けした肌の頼もしい風格を持っている。だが、常にあの時学んだ謙虚さを忘れてはいない。そして、遠泳でチーム全員をゴールへ導くことと同様に、スタッフとのチームを目標達成に向けて導いていくことにもやりがいを感じているのだった。