目指すは1000億円企業。多様な才能を持つメンバーが力を発揮できる場をつくる
林 亮太Hayashi Ryota
セルプロモート株式会社
代表取締役
大学時代〜内定まで。目標を掲げストイックに駆け抜けた6年間。そして起業へ。
大学時代は以前にも増して友だちが増えていったが、優秀な仲間を探していることもあったのだろう。林は以前にも増して寝る間を惜しんで、友だち付き合いを続けた。ベッドに寝ると眠り過ぎてしまうという理由で、ソファで3時間ほど仮眠する生活を続けていた。
起業の目標は大学4年のときに、思惑どおり、優秀な仲間と共に果たした。サービスのアイデアもよく、お客や取引先も順調に獲得したが、事業は軌道に乗らなかった。マネタイズなどの経営ノウハウが乏しかったからだ。経験不足を痛感した林は、起業から会社経営のノウハウが学べる就職先を探すために人材紹介会社を訪ねた。
ここでも林らしい人生の切り拓き方がでる。
「自分の経験や目標を話しているうちに人材紹介会社の方から、『うちの面接を受けないか?今副社長がいるから会ってみないか。』と言われて即日「最終面接」をうける事になりました。副社長に対して、自分がいかに会社に貢献できる人間かを力説しました。1年目に営業トップ、2年目にマメージャートップ、3年目に事業責任者のトップになると。そして生意気にも、3年経ったらこの会社を辞めて独立すると。そしたら、副社長は『3年後も君がこの会社にいたい、と思えるような会社にするから、3年後に判断すればいい。それまでにお互いに今言った目標を達成できるように頑張ろう。』と言ってくれました。」
こうして林は就職することになる。浪人と大学留年で26歳になる新卒の才能を見出し、内定を出したのは、当時伸び盛りであった、各種人材ビジネスを手がけるスタートアップ、ネオキャリアである。ネオキャリアでは、営業、新規事業、子会社の経営など、思った通りのことが学べ、スキルが身についた。こうして林は辞職後2年間のフリーランス、起業準備期間を経て2014年に独立・開業し現在に至る。
誰でも才能を持っている。その才能を開花させ成功に導くのが自分の役割
自分よりも優秀な才能を集めた会社を経営するとの想いを、林は地でいっている。ただ優秀な才能という基準が、林の場合はとても広い。
「人って、誰でも才能を持っていると思うんです。ただその才能を本人が気づいていないケースが多い。そこを僕や会社のメンバーが見つけてあげ、伸ばすことで輝いてほしいんです。だから僕がやっていることは、タレントを集めて才能を開花する、芸能事務所のようなものです。プロデュース、演出とも言えるかもしれません。そしてそのような人材を輩出することが、今のやりがいです」
もともと林が会社を興したのは、金持ちになることが目的だった。ただその想いは、ある時期からなくなったという。理由は明白、ある程度満足するお金を手にしたこと。自分の本当にやりたかったことは、まわりの人を輝かすことだと気づいたからだ。幼いころから大勢の友だちに囲まれていたこと。自分には才能がないが、まわりの友だちにはあるとの感情を持っていたことで醸成された、人の才能を見つける能力。これこそ林ならびにセルプロモート最大の武器と言える。同時に、弱い部分も見えるという。
「せっかく優れた才能を持っているのに、マイナス要素があるために、もうひとつ輝いていない人が多いと感じています。言い方を変えれば、マイナス要素をなくせば輝けるということです。そしてそのマイナス要素は、割と当たり前のことであることが多い。嘘をつかない、約束を守る、遅刻をしないなど、です」
もうひとつ。まわりにいる人、属しているコミュニティーも重要だと林。あらゆる成功要素が揃っているのに輝いていない人は、その場が合っていないと指摘。ここでも自分が若いころからいろいろなコミュニティーに属したことで、学んだことが活きている。林自身、20代まではさまざまな人と会い多様なコミュニティーに属していたが、最近は選ぶようにしている。
実際同社には、以前とはまったく別の仕事や職種で入社するメンバーも多く、入社してからジョブローテーションすることもある。ただ誰にでも才能があるのであれば、どんなメンバーも受け入れるのか。林に聞くと、次のような答えが返ってきた。
「基本はイエスです。ただ自分を変えたいとか、自分にはどんな個性・才能があるのか分からない。でももっと成長したい。このような意欲のある方であれば、という前提です。だから極論を言えば、面接の際に才能を見つけられなかったとしても、成長意欲さえあれば歓迎しますし、必ずや才能を見つけ、伸ばしてあげられると思っています」
現に、転職回数が多かったり、以前の職場で実績を残していない人なども採用しているが、そのような中から才能を見つけ出し、開花させ、会社の幹部になったり、別会社の社長を担うような人物に成長していると、林は満足気に話す。