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次世代の革新的製造業「梅田工業株式会社」 クリエイティブな人材が活躍できる環境を整備する

梅田 英鑑Umeda Hidenori

梅田工業株式会社

代表取締役社長

全てがオープン。会社に関するあらゆる情報が記載された経営計画書を全社員に配布し「価値観」を共有

「俺の考えに従うロボットのように動けばいい」との言葉に反発し、一時は家を飛び出た梅田だが、今となればあのときの父親の言葉の本質が分かるという。それは「価値観」の共有だ。

「経営をしていくと、自分の考えや経営理念などが従業員に浸透していないことが分かってきました。言い方を変えれば、私が行ってきた先の改革の意図を疑問に感じる声です。そこで私の考えも含めた会社としての意思やルールといった、いってみれば梅田工業の『価値観』を全メンバーで共有できないものかと考えたんです」

こうした思いから作成されたのが全従業員に配布しいている「経営計画書」だ。会社の理念やルールといったクレド的な内容から、人事評価、罰則などの規定。さらには売上や営業利益など会社の業績がひと目で分かる内容まで、全90ページからなるボリュームで、会社に関する事細かな内容が全て記載されているのだ

(梅田工業株式会社:経営計画書)

中でも梅田の思いが集約された項目がある。「能力よりも価値観(考え方)を共有できることを重視する」といった内容だ。ABCDと4人の従業員が登場。それぞれ「能力」「考え方」を備えているかが○☓で表されているのだが、能力では☓だが考え方が○なBが、能力が○で考え方が☓のCよりも評価されている点が興味深い。革新的で伸びているIT系や・テック系のベンチャー企業のトップを取材していると、梅田と同じような理念、感覚を持つ経営者を多く見かける。「経営で一番重視するのは価値観。ズレているとお互いが不幸だから」との思考だ。旧態依然の組織が多い製造業で、梅田工業のような革新的でオープンなガバナンスを行っている会社は珍しい。気づけば、ロボットのように動けといっていた父親が会社に来くることはほとんどなくなっていた。