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次世代の革新的製造業「梅田工業株式会社」 クリエイティブな人材が活躍できる環境を整備する

梅田 英鑑Umeda Hidenori

梅田工業株式会社

代表取締役社長

全社員にiPadを支給。徹底した効率化と新規客の開拓で創業来最高の利益を達成

実は当時、会社は業績が芳しくなった。梅田は常務として会社を見渡した。するとムダな動き、ムダな残業、ムダなスペースといった『効率の悪さ』が目立った。梅田はあることを思い出した。修行先、丁稚奉公で通っていた関連会社で受けた指導だ。

「毎日30分ほど、晒し者のように上長から怒られました。基本的な技術がないのももちろんでしたが、仕事に対する姿勢、考え方、取り組み方などが備わっていないと。中でも一番強く印象に残っているのが、『ダラダラ仕事をするな』。要するに効率化です。たとえば移動に関しても時間を決めて素早く動く。一方で、休むときはしっかり休む。また楽しく仕事をする姿勢もその上長から教わりました」

梅田は当時の上長に教わったことを実践していった。作業場のレイアウトを変更し、ムダな動きをなくした。いくつかの部署を統合し、生産工程をスリム化した。社員同士の距離が縮まり、それまではあまり見られなかった社員同士の会話や笑顔が増え、社内の雰囲気が明るくなる効果も生まれた。一方でリストラは一度も行わなかった。業務が効率よくまわるようになりにつれ、従業員の残業は減り、対照的に生産スピードは上がっていった。気づけば売上こそ一時的に下がったが、営業利益はマイナスからプラスに転じていた。そんな梅田の活躍を見て、現会長の父親も信頼したのだろう。帰国から1年後には社長に抜擢。梅田はさらに改革を推し進めていく。ここでも先の上長の教えが活きた。どんな状況でも諦めない。「できる・できない」を問われたら、とにかくやってみる。やってみてから勉強すればよいとの考えだ。

「とにかく必死でしたね。工場の効率化を進める一方で、営業マンとしても新規顧客の開拓に走り回っていました。得意分野でなかったとしても、まずは請けました。後から勉強すればいいと。実際やっていくうちに知識が入っていくものでした。また母親から教わったことですが、まわりの人や企業から『使ってもらえる会社や人物になる』ということも意識していました」

社長に就任してから3年経ったころには、1億円を超えるマイナスだった営業利益はプラスに転換。就任5年後には創業来最高の利益を計上。営業利益は1億円を超えるまでに業績は回復していた。ただ現在も改革は続いている。工場の隣地を買い取り、より作業がしやすく効率的に動けるレイアウトに変えるべく、大規模なリニューアル工事を計画。あわせて工場のICT化も推し進めている。

「テクノロジーを活用し、『報・連・相』など社内のコミュケーションを円滑かつ効率的に行いたいと考えて、全社員にiPadを支給しました。これまでは内線でやり取りしていた内容を、Chat Workなどのツールを活用する仕組みに変えました。発注書や工程指示書などに関しても、いずれはこのiPadで全て閲覧できるような仕組みに変えたいと考えています。今から慣れてもらう為に全従業員にデバイスを支給しました。」