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お客様と社員の幸せが 会社の成長を呼ぶ

白石 勇人Shiraishi Hayato

株式会社白石モータース

代表取締役

修行を終え社長就任--祖母の急死に悲しむ両親を支えるために

「本当は、修行は5年で終えて、福島に帰るつもりだったんですが、仕事が楽しくて、結局7年間勤めました」

数多くの刺激をもらいながら過ごしていた修業時代が終わるのは、ある出来事がきっかけだった。

「2015年、祖母が急死しました。父は魂が抜けたような状態になって、会社全体に悲しみムードがあふれていました。その状況をみて、地元に帰ろう。と思いました。」

そして静岡で整備士として同じく修行をしていた弟と一緒に、白石モータースに入社した。そのニュースは、悲しみを引きずる社員にとって久しぶりに明るい話題だった。

「いずれ会社を継いで社長になるから、みんなで頑張ろう」

白石のその一言で、会社には光が灯った。まずは営業として会社を支えることになった白石は、こうして三代目社長就任の足がかりを作っていくことになる。

「社員幸福化計画」で真の地域ナンバーワン企業に

このインタビューを行ったのは、2019年10月のある日のこと。社長に就任して1年と数ヶ月が経った時期だ。社長歴が1年強だとは思えないコメントが相次いで白石の口から発せられた。

「ただ会社を大きくして売上を何倍にするという目標はないですね。目標は今いる社員とその家族が幸せになること。みんなが納得したやり方で、自主性を持って仕事をしてくれれば結果的に売上は伸びていくはずです。東京での修行時代に、渡邊さんから教わった事、原体験を社員にも感じてもらいたいと思っています。」

そのために行ったのが、冒頭で記した全社員からのヒアリング。何が、当人にとって幸せなのか、全員の情報を集めることだった。

「『ディズニーランドに泊まりたい』という人もいれば『家族で過ごす時間をもっと作りたい』という人もいました。当然、幸せの定義は人それぞれですが、ほとんどの願いは、売上を上げて給料が上がれば叶うんです。だったら、全員の目標を達成できるにはいくら必要かを考えて売上目標を立てて、全員で目標に向かって努力していけばいいんです」

こうして社員のやる気を引き出し、自発的に行動することで、会社も社員も、そして他でもないお客様の幸せになることを信じている。白石の口からは「社員幸福化計画」という言葉が出た。常に社員とその家族の幸せを想うことこそが、社長としての信念なのだ。

「売上や販売台数の目標を達成しても、社員が会社に不満を持っていたら意味がありません。これからも社員との対話を大切にしていきたいと思います。私は地域ナンバーワン企業になることを目指していますが、何をもってナンバーワンなのか? と問われたら、社員の幸福度だと答えます。」

熱く語る白石も、家庭に戻れば三児のパパ。かつて自身が父に厳しく作法を教えられた教訓を胸に、ゲーム感覚で箸の持ち方や日常の礼儀を楽しく教える日常がある。

「父は礼儀作法にはとても厳しかったですからね。自分は厳しくしつけるというよりは、家族で一緒に楽しみながらいろいろなことを覚えていってほしいと思います」

家族について語る白石の目には、社員のことを想う時と同じように、柔和な光が宿っていた。社員と家族の幸せのために、白石はこれからも多くの愛を与え続けることだろう。

編集・インタビュー:岡本 英久/箕田 圭一 撮影:中村 昭一朗

白石 勇人Shiraishi Hayato

株式会社白石モータース

代表取締役

1987年生まれ 福島県田村市船引町出身/福島県立小野高等学校卒/日本工学院八王子専門学校卒 趣味:ゴルフ、バイク、釣り
2008年 株式会社シュテルン中央(メルセデスベンツ中央 有明サービスセンター)就職
2012年 メルセデスベンツ豊洲オープニングスタッフ 営業部へ異動
2015年 株式会社シュテルン中央 退職/白石モータース就職
2018年7月 白石モータース 代表取締役 就任(現職)