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顧客への「営業活動」は最大の機会損失。希有なビジネスモデルで「営業活動を不要」に。未知なる領域を攻め、目標を達成する。

中平 勝也Nakahira Katsuya

株式会社アールアート

代表取締役

稼ぐのは当たりまえ。欲しい人材は「大きな志や目標を持つ仲間」。稼ぎはよい仕事をすればついてくる。

ビジネスオーナーとして5年が経った。物件によっては先述した通り小さなトラブルはあるが、全体としてビジネスは好調。目的であったレースにも3年前から復帰。現在は全日本ラリー選手権のトップカテゴリに参戦し、元世界チャンピオンなどとレースを繰り広げている。現状に満足していると思いきや、ある課題があるという。人材だ。

「弊社がやっている事業は、ニッチでノウハウが必要なため、人材が育ちづらいんです。実質的に今は私ひとりで、物件探しからデザインまでやっていて、顧客もそれを望んでいる状況ですから。今後は人材を育成し、より多くの物件を扱うことで、社会から必要とされる組織ならびに事業に成長できれば、と考えています」

どんな人材を求めているのか聞くと、即答だった。

「自分と同じように、人生の目標や夢を持っている人です。ライフスタイル、といっても言いと思います。実際、これまで弊社で学び巣立っていった2人のメンバーは、どちらも世界中を旅行するのが夢で、そのために不動産を持ちたいと学んでいました。ですからお客さんである投資家が、当社のメンバーになったケースもあります。」

また何故「お金が目的」の求職者は不要なのか聞いてみた。

「お金を稼ぎたいのは全然構わないのですが、お金はあくまで夢を叶えるための1つのツールに過ぎません。お金そのものが目的になってしまうと、先述したように相手を騙したり、ウソをつくなど大抵悪い行いをする傾向にありますからね。そうなれば、また新たな「対象」を営業として見つけに行かなければなりません。そんな人を、業界でたくさん見てきました。よい仕事をしていれば、顧客になって頂けます。そうすれば必然として、お金をちゃんと稼げるわけですから。」

「営業」にかける時間を最大の機会損失とする中平らしい考えだ。また昨今、業界問わず業績が伸びている会社は、この様な考え方の代表者が多いのも事実だ。穏やかで品のある話し方からは、綺麗事ではない中平の信念が伝わってきた。

常に「その時にやりたい事を実現できる自分」でいる事。全日本ラリー選手権優勝・世界ラリー選手権への出場が目標。

 レースに参加できる時間とお金の余裕を得た中平に、今後の夢を改めて聞いてみると、意外な答えが返ってきた。不動産オーナーとなり、ビジネスは誰かに任せ、レースに集中したい。そんな答えを予想していたからだ。

「全日本ラリー選手権での優勝、世界ラリー選手権への出場といった夢はありますが、特にビジネスにおいては、この先どうなるかは自分でもあまり考えていません。先に話したように仕事自体が楽しいですし、私が何より大切にしているのは、その時にやりたいことが実現できる環境を整えることだからです。ですから20年後は、どこで何をしているのか。自分でも分かりません」

不動産王となり、南の島の楽園でのんびり悠々自適に暮らしている。世界ラリー選手権に参戦し、レーサーとして世界中を飛び回っている。後進を数多く育て会社を大きくしている。ラリーで駆け巡るコースのように、中平の人生の次のシーンは、本人はもちろん周りの誰も予測できない。

※2019ラリーカムイ

編集・インタビュー:岡本 英久/杉山 忠義 撮影:くさなぎ まこと 

中平 勝也Nakahira Katsuya

株式会社アールアート

代表取締役

1987年 埼玉県 生まれ
2007年 東証一部上場商社 入社
2009年 東証一部上場商社 退社 
    小規模不動産ベンチャー企業 入社
2013年 小規模不動産ベンチャー企業 退社
    株式会社アールアート 創業
2017年 全日本ラリー選手権 年間総合10位
2018年 オフィス拡大移転
    全日本ラリー選手権 年間総合6位