顧客への「営業活動」は最大の機会損失。希有なビジネスモデルで「営業活動を不要」に。未知なる領域を攻め、目標を達成する。
中平 勝也Nakahira Katsuya
株式会社アールアート
代表取締役
1987年 埼玉県 生まれ
2007年 東証一部上場商社 入社
2009年 東証一部上場商社 退社
小規模不動産ベンチャー企業 入社
2013年 小規模不動産ベンチャー企業 退社
株式会社アールアート 創業
2017年 全日本ラリー選手権 年間総合10位
2018年 オフィス拡大移転
全日本ラリー選手権 年間総合6位
Index
業界では「最終処分場」と呼ばれている。築50~60年の流動性の低い木造戸建てをリノベーション。
稀有なビジネススタイルから、業界では「再生請負人」といった異名を持つ。社会問題ともなっている空き家をメインに扱っている不動産業者がある。東京都渋谷区代々木にある株式会社アールアートだ。
「昭和30~40年代に建てられた、木造戸建て住宅やアパートを主に扱っています。言い方はあれですが、ウチに相談に来るのはまさにボロ家。それだけではありません。道路に面していない、傾いているなど、他の不動産業者が面倒くさがって扱いたがらない、そのままでは買い手がつかない物件が大半です」
柔らかい口調でそう語るのは代表の中平勝也だ。中平は業界で「最終処分場」「再生請負人」「最後の砦」といった異名を持つほどで、実際、何かしらの問題を抱えた流動性の低い物件が自然に集まってくるという。
同業者が嫌がる物件を、中平はどうやって「再生」し、ビジネスにしているのか。
「簡単に説明すると、リノベーションとリーシングまでした後、投資家に販売して賃貸管理をしています。そのため一般的な広さの物件ではなく比較的狭い面積の物件、駐車スペースが無いような物件を意図的に扱っています。」
同社が扱う物件は先述の内容も含め、ほとんどが一般的に流通することの少ない物件だという。そのため新築嗜好の一般客は見向きもしない。しかし「賃貸」であれば別だと、中平は独自のビジネスモデルを説明する。
ライバルも多少はいるそうだが、デザインから施工までを自社で一貫して手がけている事や、年間約60件、累計数百件手がけてきた実績から得たリノベーションのノウハウを持っている事などから、工事費用を安くできるため、物件価格は割安になる。その結果、多くの投資家から支持されているという。中平が言う「リノベーション」とは、ユーザーが想像する「リフォーム+α」という言葉の意味を大きく越えている。傾いている家の土台をジャッキアップして水平にする事も中平の言う「リノベーション」に含まれるのだ。そのような大掛かりなリノベーションをしても、中平のノウハウにより産み出される「ROI(投資収益率)」が、競合他社の追随を許さない強烈な差別化要因だ。
このようなノウハウや強みを手に入れるまでの中平の人生は、どのような道のりだったのだろうか。