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12年間で2万5000人を指導。参加者を一人残らず熱狂させる「ライブ型研修」で経営者の課題を解決する

谷本 真次郎Tanimoto Shinjiro

株式会社ミッション・フォース

代表取締役

 アナウンサー仕込みの「実況」で参加者を虜にする

谷本の講師としてのキャリアは、外資系保険会社で幕を開ける。営業職やマネージャー陣を対象に、12年間で延べ2万5000人に研修を行ってきた。管理職向けのリーダーシップ研修では、チームの離職率を半減させるという功績も残した。

しかしその道のりは決して順風満帆ではなかった。当初は参加者の9割が寝てしまうという大失敗を経験。人に伝えることの難しさを痛感。そこから、わかりやすく伝える技術、人前での話し方、プレゼンテーションを徹底的に研究。経験の集大成である「ライブ型研修」を掲げ、自信を持って独立を決めたのだ。

「さあディスカッションしてみましょう!どうぞー!」

「さあどうでしょうか、意見は出ましたか!?」

壇上に立った谷本は、まるで何かが憑依したようにスイッチが入る。じっくり聞かせたいところは淡々と語りかけ、ワークでは一気に声のトーンを上げる。このメリハリで、会場を興奮のるつぼに巻き込んでいく。

根底にあるのは、日本テレビのベテランアナウンサー、小川光明さんへの憧れ

谷本は学生時代、アナウンサーを志していた。

「小川アナの野球実況を聞いたのがきっかけでした。『さあバッターボックスに松井が入りました。…打ったー!大きい!ホームラン!!』 アナウンサーの実況によって試合にドラマが生まれることに感動しました。」

その時の憧れが研修講師という道で開花する。声を使って人を鼓舞し興奮させ、研修の空間に巻き込む。まるでスポーツ実況のようなライブ感に、参加者は驚愕する。

谷本は会場へ入った瞬間から、場を温める気配りを欠かさない。一人ひとりに必ず声を掛ける。心を開かない人には、休憩時間を使ってでもコミュニケーションを取りに行く。

しかしあくまでも研修当日は、全員に心を開いてもらうためのきっかけ作り、起爆剤なのだという。それを成功させるためには、事前の調査打ち合せとアフターフォローが何より大切だと谷本は語る。

「事前に経営トップやマネージャー陣、もう一方では部下だけなど、別々にヒアリングを行います。それぞれ本当はどうしたいのかをトータル3時間ほどかけて聞いて、この研修で気付きを与えるべきは新人なのか、または上司の方なのかなど、ターゲットを決めます。」

研修の目的は「変わること」にある。谷本は事前の調査打ち合わせからアフターフォローまでを含めた一連の流れで、全体の意識を変えていく。研修後は学んだことが達成できているかをミーティングで確認し、場合によっては一対一でのコーチングを実施、再度研修を行うこともあるという。

社内の垣根を越えた本音のコミュニケーションは、谷本のこのような長期的な伴走によって生まれるのだ。