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『生命保険業は究極のお節介業』 財務と経営を総合的に判断できる生命保険コンサルタントのプロフェッショナル

大塚 伸宏Otsuka Nobuhiro

プルデンシャル生命保険株式会社  東京南支社 第1営業所

エグゼクティブ・ライフプランナー/部 長

銀行で10年間勤務、数多くの企業の決算書を見ることで鍛えられた眼力

 まずは金融のプロフェッショナルとしてのキャリアならびにスキルから紹介していく。

プルデンシャル生命保険に転職する前、大塚は首都圏の地方銀行の新規融資先開拓部門にいた。それも基本的にはほぼ10年間ずっとだ。そのため毎日朝から晩まで、中小零細企業から一部上場企業の決算書をチェックしては、経営が順調そうな、融資を受け入れてくれそうな先をピックアップし、ひたすら営業をかけていった。つまり冒頭、決算書を見れば企業の状態がわかるスキルは、この時代に培ったのである。

それだけではない。営業は電話などではなく足を使ったスタイルで、大塚いわく「ビルの最上階から下層階まで、一軒ずつひたらす営業をしていく泥臭い方法」だったという。熱心な営業を受け入れてくれる企業も多く、経営者や財務担当者と直接話し、本音で交渉するリアルなやり取りも、金融を通じて企業とコミットする、今の大塚のサービスの素地を築いたものと言える。

営業の実践現場で、成績優秀者だった大塚には、銀行内のいくつかのトレーニングプログラム参加の話が舞い込み、選抜された。中小企業診断士の資格取得プログラム、当時から注目されていた個人資産形成・運用の現場、アメリカ東海岸の主要銀行の動向を視察するプログラム、そして本人も興味を持っていた投資銀行業務・M&A等だ。なかでも特にM&Aプログラムへの参加が、その後の大塚の成長を加速させる。

「M&Aプログラムは、大手証券会社への出向で行われました。出向期間はわずか半年ほどと短かったですが、当時は今とは異なりM&Aという言葉自体がまだメジャーではない時代。M&Aの最先端の知識を学べたことは、その後の糧となりました。ただそれ以上に師匠との出会いが衝撃的で、一大転機となりました。その後の私の人生における職業観を刷新する大きな財産となりました」

銀行員として、経営者と対峙することは日常茶飯事、特に新規融資部門の最前線にいた大塚には当たり前だ。そんな大塚に、その師匠は、プロフェッショナルとは何か。言い方を変えれば、顧客である経営者と対峙したときに、どのように寄り添い、ベネフィットを提供できるか。セールスの本質的な価値や楽しさを伝えた。

『知的職業の最高位はセールスである』との正しい姿勢

「師匠が言うには、『真のセールスマンには50歳前にはなれない、それぐらい難しいということ。お客さまが何に興味を持っているか分からないので、幅広く教養や趣味を高める必要がある。商品説明ではない、人間力で説得する!こんな究極のセールスを目指しなさい』と。そして、プロフェッショナルとは何かという問いに対しては、『プロとは目に見えない報酬を一心不乱に追求する人、プロとは何かを犠牲にしている人、プロには知識・見識・胆識の3つの能力が必要である。そして健康を大事にしなさい』と。多くの大切なことを教わりました。ここからが特に重要なのですが、『経営に必要なあらゆる分野を幅広く知っているだけでなく、どの分野でもスペシャリストの知識を要する、言わばスーパーゼネラリストになれ、それができなければ、本当の意味で経営者には寄り添えない』と」

師匠の教えを実践。スペシャリストを目指して様々な資格を取得

先にも少し書いたが、経営に関わる領域は無数にある。そのすべての分野でスペシャリストになる――。ふつうに考えれば、荒唐無稽な教えにも映る。しかし大塚は師匠の教えに感嘆、共感し、教えどおり、経営に必要なさまざまな分野のスペシャリストを目指した。

先の銀行業務と平行しながら、各専門分野の勉強に没頭した。中小企業診断士、宅地建物取引士、相続・事業承継社内資格認定者、DCプランナー2級、トータルライフコンサルタント、生命保険面接士などの資格を取得。

資格取得をしていない分野も入れれば、さらに領域は増える。ユニークなのは一見すると経営とは関係がないような分野のナレッジも身につけていることだ。成功の原理原則、目標達成の技術、ウェブ解析士、医療経営コンサルタント、ワインエキスパート、世界遺産検定、小型船舶免許など。勉強の仕方、ナレッジの深め方についても、大塚は次第に法則を見つけていった。

「大前提として、すべての領域でスペシャリストになることは物理的に不可能です。ただ、常に学び続ける姿勢が大切であるとの教えを得たことが大きかったですね。学びの進め方については、まずはその道の一流のプロを見つけ、師匠とする。次に師匠が目指す道を裏付けている書籍を読んで習得する。最後に現場で実践することで、体得し習慣化する。一流の師匠には、一流の考え、そして何よりも『在り方』がある。凡人にはない、達人の香りがある。これが人間力かと。現場の経営者の方のお役に立てる本質的な習慣が身につくと思い、実践しています」

大塚は大手証券会社への出向時代の師匠の教えを守り、現在も師匠に仰ぐ姿勢を大切にしている。プルデンシャル生命保険の創業者である坂口陽史氏、人材教育の青木仁志氏、経営コンサルタントの小宮一慶氏、修身哲学の森信三氏に私淑している。聖書、論語、仏教書など古くから多くの人々に伝え継がれている古典から原理原則を学ぶ。

そして、心理学、経営学、管理会計学などを学び続け、ご縁があり、2019年12月には京都大学経営管理大学院 上級経営会計専門家(EMBA)プログラムを修了している。